STORY

九條真曰く……

「テーマはわりと興味あるな」

俺もニュース見て、いろいろ考えることがある。

「ディベートとは、ある公的な主題について異なる立場に分かれ議論することをいう」

へぇー、ディベートなんてやるのか?

「憲法改正問題です。特に憲法九条について改正した方がみんな幸せなのか、このままの方がハッピーなのか考えましょう!」



なんだ、議論の余地なんてないだろ。
この世に本気で戦争をしたい人なんているわけがない。

たしかに、近くで武器を持って暴れてるやつがいたら怖いけど、だからといって、こっちも相手の土俵にあがってどうするんだ。
ふん、大和のやつ、改憲して戦争しやすくするんだって?

ふざけるなっ!


それじゃ戦争の歴史を繰り返すだけだろ!
いい加減、人類も、戦争スパイラルから抜け出さないと。
俺たちはもう、12歳の子どもじゃないんだ。

憲法で理想を語って何が悪いんだ!



だいたい、あいつは何にしても俺に対抗心燃やしすぎだ。そんなに生徒会選挙で俺に負けたのが悔しいのか?
あれは日頃の行いの悪い、自業自得じゃないか。

そもそも憲法だと戦力持たないって書いているけど、実際、この国は戦力持ってる。
港には、アメリカ軍の原子力空母も停泊してるし。
矛盾はしてる、それは間違いない。
だけど、これが落とし所じゃないのか?

本音と建前。



改憲なんかしたら、ブレーキが利かずに暴走するかもしれない。


俺の本音は………
もし、戦争するくらいなら、笑って死ぬことを選びたい。
それくらいの心意気がないと誰も武器なんて捨てない。

誰もがそうして、笑い合えたなら……きっと人類は武器なんて放して、手を取りあえる。わかり合えるはずだ!
でもそうするに、今、誰かが始めないと、何も始まらない。

なあ、そう思わないか?

それにしても、直樹のやつ、どうして幼なじみの俺に味方しないんだ!?
ほんと、メチャクチャむかつくぜっ!

くそっ、大和のやつに盗られる前に、なんとしても護憲派に入れてやる。